日本の高齢社会の可能性を探る:高齢社会についての談話会

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家電の出現とアメリカナイズされた家庭・主婦


「三種の神器」といわれた、電気冷蔵庫、電気洗濯機、電気掃除機は、戦後に出現したアメリカナイズされた「家庭」と「主婦」を成立させる必需品だった。これによって、それまで主婦として認められていなかったエリート層以外の家族の妻たちの多くは、「主婦」として家事労働から解放されたわけである。戦前の主婦が取り仕切っていた「女中」がこれらの家電によって置き換えられたのだ。


電気掃除機によって、はるかに簡単に掃除ができ、重労働だった洗濯も洗濯機が行い、効率よく買い物をするために電気冷蔵庫が役立った。それまで家庭を維持するために必要だった女中の機能は大方は家電によって置き換えられたのだ。この家電という存在が戦後のライフスタイルを決定づけた。

その後、新三種の神器といわれた3Cが出現する。それはカラーテレビ、クーラー、自動車であるが、これらはあくまで付加価値づけという側面が強く、「消費は美徳」という社会の思潮の表象として普及することになった。三種の神器で日本人の多くは便利になった、楽になったということを「とほうもない尊い価値」だと受け止めた。その経験が、消費を美徳とし、楽になるような家電を次々に「三種の神器」の二番煎じ、三番煎じにしていった。そして、「三種の神器」という枠組み自体がその後の日本人に埋め込まれた思考パターンとなった。

その意味では、それまで家庭に一台しかなかった電話が個人のものとなったり、社会的役割によって一人が何台も保有するという状況を作り出した携帯電話はライフスタイルを抜本的に変革したものであるといえよう。

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