日本の高齢社会の可能性を探る:高齢社会についての談話会

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「家庭」「主婦」概念の変化

「家庭」や「主婦」という言葉は19世紀末に西欧からの翻訳語として導入され、新聞や婦人雑誌などのメディアによって広められた。

このころに都市部には、高い学歴を持ったサラリーマンの夫と、専業主婦の妻と、熱心に教育を施される子どもから構成される家族が出現した。彼らは文明開化した社会の豊かな生活を手に入れた層で、エリートとして社会で活躍する人々だった。そして、この家族が形づくる「家庭」は「主婦」によって取り仕切られていた。ここで取り仕切るという表現をしたのは、主婦は家事労働者ではなかったということを意味しているからである。主婦は、女中など、家庭を維持するために必要な人材や資源を配分し、経営する者だったからだ。このような当時の主婦という概念は現在のそれとは異なるものである。


しかし、太平洋戦争後、主婦という概念から「取り仕切る者」という側面が消えることになる。家庭や主婦という言葉は一般化したのである。戦後の経済復興と産業構造の変化によって、サラリーマン人口が増加し、アメリカの生活文化が圧倒的な質と量で導入された。そして、アメリカナイズされた家庭と主婦という概念でそれまでの家庭と主婦の概念が塗り替えられていくことになる。

このアメリカナイズされた家庭と主婦という概念は、家電製品によって成り立っていた。アメリカナイズされた家庭と主婦の台頭は、電化によって行われたのだ。

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